BRACK☆JACK~序章~


「あたしにも一応部下がいるの。その人たちにお願いして、ひと仕事してもらったのよ。安心して、あんたの相棒って人も探してもらってるから」



 そのあまりの手際の良さに、エイジは軽く口笛を吹いた 。



「ホントに君ってやつは…一体、どういう人間なんだ?」

「あんまり深く関わらないほうが身のためよ。じゃなきゃ長生きできないわ…お互いに、ね」



 真剣な眼差しでミサトはエイジを見た。



「わかりました、お姫様。死んだら何も残らねェからなァ…だったら俺は、生きる道を選ぶよ」

「そのほうがいいわ」



 そして、二人はあるマンションにたどり着く。



「ここは?」

「あたしの家。まずはあんたの傷を処置しないとね」



 エレベーターに乗り、ミサトは部屋の鍵を開けた。

 常備してある医療用具で、エイジの傷の手当をする。



「手際がいいな」

「慣れてるからね…でも、国に帰ったらちゃんと治療したほうがいいわ…って、国はどこ?」

「お互いに、深く関わらねェほうがよかったんじゃねェのか?」



 そう言うと、エイジはソファに寝転がる。

 そうだったわね、とミサトはキッチンに行ってウイスキーとグラスを2つ持ってくると、エイジの向かい側のソファに座り、上手くをグラスに注いだ。

 起き上がり、サンキューとグラスを受け取ると、エイジは呟く。



「“Chance in a Million”」

「…え?」



 ミサトは聞き返す。



「偶然の出来事…そんな関係だろ、俺達は」

「そうね。偶然、通りすがっただけの関係…」



 偶然だけなら、下手に関わりを持たなくてもいい。

 それだけなら、お互いに危険に晒されなくてもいい。
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