BRACK☆JACK~序章~
ぱん、と乾いた音が辺りに響いた。
車は、倒れたままのミサトを残してその場を去っていく。
薄れていく意識の中で、ミサトは小さくなっていく車を見送りながら、そっと胸に手を当てた。
生ぬるい感触が、その手に伝わる。
このままどんどん身体の中の血が流れて、こうやって太陽の光にさらされながら砂になるのもいい。
「あたし…らしいわ…」
ミサトは小さく呟いて、目を閉じる
「終わらねェさ…」
それは、太陽の光だと思った。
だがよく見ると、サラサラなびく金髪に近い茶髪。
同時に、ふわっと身体が浮き上がる。
「俺が、ミサトをここで終わらせたりしねェ。目ェ開けろ」
「エイジ…このまま…そっと、しておいて…」
「それはできねェな。俺が偶然、お前を助けたいと思っちまった。言っただろ、死んだら何にもならねェんだよ。這いつくばってでも、生きなきゃダメだ」
目を閉じたままでも、エイジの顔が見えるような気がした。
「“Chance in a Million”ね…」
ミサトは気力を振り絞って目を開ける。
そして、エイジの頬に手を当てた。
エイジは思ったとおり、優しい笑顔でこっちを見てい て。
「…空港近くにある港の埠頭に、あなた達の車が乗り捨ててあったそうよ…きっと、その近くに、いるわ…エイジの 相棒…」
「あいつ、待ちぼうけくらうのは慣れてるんだよ。俺と違ってデートの誘い方が下手クソでな…今は医者だ。どこにある?」
エイジはミサトを抱き上げたまま歩き出す。
「エイジ…」
ここに置いていけ。
その言葉は、何故か言えなかった。
エイジの顔を見たら、また、自分が死にたいのか、それとも生き延びたいのか分からなくなってきて。
今ここにある自分の全てをエイジに預けている限り、その答えは出そうにない。
何故なら、今までに感じたことのない安らぎと心地よさに、ミサトは酔いしれているから。
それならば、自分の答えを出すのは、もう少し先でもいい、とミサトは思った。
「焼き鳥屋、よ…」
「やきとり???」
頷いて、ミサトは再び目を閉じた。
車は、倒れたままのミサトを残してその場を去っていく。
薄れていく意識の中で、ミサトは小さくなっていく車を見送りながら、そっと胸に手を当てた。
生ぬるい感触が、その手に伝わる。
このままどんどん身体の中の血が流れて、こうやって太陽の光にさらされながら砂になるのもいい。
「あたし…らしいわ…」
ミサトは小さく呟いて、目を閉じる
「終わらねェさ…」
それは、太陽の光だと思った。
だがよく見ると、サラサラなびく金髪に近い茶髪。
同時に、ふわっと身体が浮き上がる。
「俺が、ミサトをここで終わらせたりしねェ。目ェ開けろ」
「エイジ…このまま…そっと、しておいて…」
「それはできねェな。俺が偶然、お前を助けたいと思っちまった。言っただろ、死んだら何にもならねェんだよ。這いつくばってでも、生きなきゃダメだ」
目を閉じたままでも、エイジの顔が見えるような気がした。
「“Chance in a Million”ね…」
ミサトは気力を振り絞って目を開ける。
そして、エイジの頬に手を当てた。
エイジは思ったとおり、優しい笑顔でこっちを見てい て。
「…空港近くにある港の埠頭に、あなた達の車が乗り捨ててあったそうよ…きっと、その近くに、いるわ…エイジの 相棒…」
「あいつ、待ちぼうけくらうのは慣れてるんだよ。俺と違ってデートの誘い方が下手クソでな…今は医者だ。どこにある?」
エイジはミサトを抱き上げたまま歩き出す。
「エイジ…」
ここに置いていけ。
その言葉は、何故か言えなかった。
エイジの顔を見たら、また、自分が死にたいのか、それとも生き延びたいのか分からなくなってきて。
今ここにある自分の全てをエイジに預けている限り、その答えは出そうにない。
何故なら、今までに感じたことのない安らぎと心地よさに、ミサトは酔いしれているから。
それならば、自分の答えを出すのは、もう少し先でもいい、とミサトは思った。
「焼き鳥屋、よ…」
「やきとり???」
頷いて、ミサトは再び目を閉じた。