BRACK☆JACK~序章~
「面倒なことに巻き込まれなきゃいいけどな」
缶ビールを一口飲んで、レンが言う。
「俺は別にかまわねェぜ。助けを求めてるレディを、男として放っておけねェだろ」
「テメェはそれでいいかも知れねェが」
コホンと咳払いをひとつして、レンは身を乗り出してエイジを見る。
「俺が言いてェのは、あと二つだ」
「…なんだよ?」
「あの女に貸した服は俺のだろ。それと、テメェのそのほっぺたはなんだ?」
「い、いやァ…彼女、なかなか照れ屋さんみたいで」
背中を流してさしあげようとしただけなのに、とエイジはため息をつく。
その左の頬は、心なしか手の形に赤くなっていた。