今夜 君をさらいにいく【完】
玲人の両親と私の両親は仲が良く、私達は小さい頃からよく一緒に遊んでいた。6つ年上の彼は、昔から真面目で秀才で。そんな玲人に追いつこうと勉強も頑張った。
高校の時、玲人に初めて彼女ができた。
でも・・・一か月もしないで別れた。彼に合わせる事ができるのは普通の子じゃ無理。小学生だった私は幼いながらも、玲人にふさわしいのはきっと自分なんだと思っていた。
小さい頃から常に側にいた私が、玲人の一番の理解者なんだと。
だから彼女ができたって平気。
もっともっと玲人にふさわしい女になろうと頑張った。
中学の終わりに、パパの仕事の都合でドイツに移住することになり、私はドイツの学校で高校生活を過ごした。
そして高校を卒業した私は、一人で帰国することを決意した。
そう、全ては玲人のため――――――・・・
久しぶりに会った玲人は、昔と何一つ変わっていなかった。変わった所と言えば、色気がある大人の男性になったという所だろうか。
見た目は良くても、玲人の冷たい態度に女性は寄り付かない。
だから私は安心していたんだと思う。
焦らなくても玲人はいつか必ず私に振り向いてくれる・・・