今夜 君をさらいにいく【完】
ページいっぱいに、女の子が下着姿で微笑んでいる。隣のページでは寝転んでセクシーなポーズをしている。
もちろん目元は隠されていた。
名前を見ると“サナ”と記載されている。
私はそのページから目が離せなかった。
「サナちゃんはセクシーキャバクラで働いてんだよ」
「せ、セクシーキャバクラ・・・?」
「キャバクラよりももっとエロいサービスする店・・・かな」
「風俗・・・なの?」
「まぁ、そうだね・・・」
アユムの顔を見てもう一度雑誌に視線を戻した。
目は隠れているが、この笑い方、体系は確かに桜井さんだった。
信じられない気持ちでいっぱいになる。
昼間の彼女からは到底想像もつかない格好をしているのだから。
しばらくその雑誌を食い入るように見つめていると、アユムがつぶやいた。
「マリナにはちゃんと言うから絶対。だから待っててほしい」
私は小さく頷いた。
今はそんな事よりも、桜井さんの事で頭がいっぱいだった。
キャバクラではなく、風俗で働いている。こんな事玲人が知るはずない。
もしも・・・
もしもこれが玲人の耳に入ったら・・・桜井さんを軽蔑するに決まってる。
そして別れてくれるかもしれない。