今夜 君をさらいにいく【完】


「玲人・・・変わったわね。以前なら夜働いてる子に偏見を持っていたじゃない。どんな理由があろうと真面目に職に就いていない奴は嫌っていたじゃない・・・」



「・・・そうだな。・・・最近気づいたんだ。あいつに出会って。世間知らずは俺の方だったって。なんて小さい人間だったんだろうって思ったよ」



「・・・風俗店で働いているとしても・・・?」



玲人は私を鋭く見つめた。



「夜の店って普通の飲み屋とかじゃないわよ。あの子、風俗店で働いてるの知ってた?」


「風俗・・・?」



眉間にしわを寄せたまま玲人は微動だにしない。どこのお店で働いてるのかまでは知らなかったらしい。


私はポケットから昨日見た雑誌の切り抜きを広げて玲人に見せた。



「桜井さん、ここのお店でサナって名前で働いてるらしいの」



切り抜きを私から受け取った玲人はしばらく俯いてそれを見つめていた。



「知らなかったのね。桜井さん、玲人には言えなかったから嘘ついていたんだわ」



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