今夜 君をさらいにいく【完】
「今日サナさん休みですよね、うち泊まりに来ませんか?」
マリナが私の腕に自分の腕を絡ませながら言う。
「うん、いいよ」
「ありがとうサナさん、やっぱりサナさんがいてくれてよかった!」
そう言って私に笑顔を向ける。すっぴんだったけど、それはもう可愛い笑顔で。
「私は何もしてないよーマリナが頑張ったんじゃん」
「私ー、アユムに好きな人がいるって薄々気づいてましたっ」
「え!?」
「あいつ、たまに切なそうに携帯握りしめてたんですよね!私には今まで見せたこともないような顔して・・・それでも、そばにいたかった。それでも好きだったんです」
無理に笑って話すマリナの気持ちが痛いくらい伝わってくる。
「マリナー・・・」
「もう、どうしようもない男好きになっちゃいましたよね私も!まぁ思いっきり引っ叩いてやったからいいんですけどね!あれはすっきりしましたよ!」
いつものおちゃらけたマリナに戻っていたが、私はそんなマリナを見るのが辛かった。
その日はマリナのアパートに泊まり、朝方だというのにお酒を買ってきて飲み明かした。
そして一つのベッドに二人で入り、ぐっすり眠った。