今夜 君をさらいにいく【完】
もう一度、美容師を目指せるなんて思ってもみなかった。
黒崎さんは私の事をちゃんと考えていてくれた。
もっと早く、色んな事を話していればよかった。
私は黒崎さんに抱きついた。
「ありがとうございます!!」
「おい、今日はやけに積極的だな、さっきのキスといい・・・」
上を見上げると、ニヤリと笑った黒崎さんの顔が間近にあった。
「そ、そうですか?」
恥ずかしくなって、下を向く。
「そういやお前、部長にどこ触られた?今日だけじゃないんだろ」
「えっあ・・・胸とか・・・でも一回だけですけどっ」
そう言った瞬間、私を軽々と持ち上げ、長机の上に乗せた。
「黒崎さん!?」
しかめっ面の黒崎さんが、私の額に自分の額をコツンとぶつけてきた。
「一回でも十分だろ」
「す、すいません・・・」
あまりにも顔が近くて、私はどこを見てよいのかわからなくなり、動揺した。
「言ったよな?次触られたらお仕置きだって」