今夜 君をさらいにいく【完】
共に歩む
数日後、私は朗報を耳にした。
「中島部長、辞職したらしいっすよ!」
三条君が通勤途中の電車の中、小声でそう言った。
部長が辞職・・・
やっぱりこの前の事があったせいなのだろうか。
黒崎さんが怖くなって辞めたに違いない。
もしあの時黒崎さんがいなかったら・・・考えるだけで身震いする。
「良かったですよね、部長、女子社員から随分嫌われてたみたいだし・・・」
吊革につかまり、携帯をいじりながらそう言う三条君。
三条君に会ったら言おうと思っていたことがあった。
告白の返事―――――――
「あの、三条君っ・・・」
「あ!そういえばアユムさんから聞きましたよ!あの二人別れちゃったんですねー!?」
「あ、うん。そうなのよ・・・」
それからはマリナとアユムの話になり、言うタイミングを逃してしまった。