今夜 君をさらいにいく【完】
昼休み、私は三条君をお昼に誘った。
いつも通り食堂でお昼を食べて、10階の休憩室で休むことにした。
今日を逃したらしばらくバイトは休みになる三条君。
言うなら今しかないと思った。
三条君は自販機でコーヒーを買ってきてくれて、私に渡した。
「ありがとう」
他の人に話を聞かれないように端のほうの席に座った。
「ふぅー」と、長いため息をつきながら、三条君が私の隣に座る。
「ねぇ、三条君。この前の事だけど・・・」
「え?」
「あの・・・告白の返事なんだけど」
その瞬間、彼の顔がこわばった。
返事を聞きたくないといった、そんな感じの表情だ。
「あー・・・もう結果出しちゃうんですか」
「・・・ごめんね」
三条君は肩を落とし、苦笑いを見せた。
「いえ、わかってましたけどね。黒崎さんにはかなわないって」
そう言って手に持っていたコーヒーを口に運んだ。
「・・・で、黒崎さんとは仲直りできたんですか?」
「うん・・・」
「そっか・・・良かったですね」
悲しげな笑顔を見せられると心が痛む。