今夜 君をさらいにいく【完】
「ちょっと桜井さん!課長と付き合ってるって本当!?」
「いつから付き合ってるの!?藤本さんと付き合ってるのかと思ってたー」
「どうやって課長を落としたんだよー!」
みんな興味津々といった感じで、口々にそう言う。
私は戸惑っていた。
どうしてバレたんだろうと・・・
近くにいた理紗ちゃんが言った。
「昼休みに三条さんと話してるのを聞いた子がいるみたいですよ・・・」
理紗ちゃんも半信半疑に、本当なのかと聞いてくる。
三条君も横でしまったという顔をした。
「何の騒ぎだこれは」
その時、センターの中に黒崎さんと藤本さんが入ってきた。
みんな一斉にそちらを向く。
「もうとっくに休憩時間は過ぎてるぞ、通話中の奴もいるのをわかってるのか」
黒崎さんの一喝に、皆がそれぞれ自分のデスクに戻っていく。
そんな中、一人のオペレーターが黒崎さんに問いかけた。
「あの・・・黒崎さん、桜井さんと付き合ってるって本当ですかっ」
その声にセンター内が静まり返った。