今夜 君をさらいにいく【完】

私はこういう妹のような存在の子を放っておけないたちだ。
すぐ助けたくなってしまう。


ホストなんて行ったことないけど、マリナが苦しんでいるのをこれ以上見ていられなかった。



ガチャ!


その時、勢いよくドアが開き、スタッフが私に言った。



「サナさん指名!8番、60分ね!」



60分指名とはいつも来る客かな?誰だろう。




「サナさんやったね!ホスト代稼いできてくださいよぉ!」



マリナの彼氏のためにお金が消えていくと思うとしゃくに障るがしょうがない。

私はすばやく化粧を直し、店内に出た。



8番のカーテンを開ける。



・・・そこにいたのは見覚えのある顔。




中島部長だった。



中島部長は黒崎さんの直の上司にあたる人だ。

YS課にはたまに顔を見せる程度だが、私も何度か話した事はある。


なぜ彼がうちの店に!?

前から来ていたの!?

てかなんで最初から60分指名!?


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