今夜 君をさらいにいく【完】
もしやバレてるんじゃ・・・
私は一瞬固まったが、ふと思った。
会社ではほぼスッピンで、髪なんてただまとめているだけ。ここでは超がつくくらい化粧も濃くしているし、髪もモリモリ盛っている。そして薄暗い店内にお酒が入ればばれる事はない。
多分・・・。
それに今日は暇だし、マリナの事もあるし、断っていられない。
「初めましてー!ご指名ありがとうございますっ」
なるべく顔を合わせない様に下を向いて言った。
「おお!想像通りのカワイイ子だね!指名して良かったよ!」
隣に座るないなや、さっそくお尻を触ってきた。
確かに会社でも、厭らしい目つきで女子社員を見ている顔が嫌いだった。
セクハラをしているという噂も聞いている。
噂は本当かもしれないな。
こういう人が黒崎さんの上司だなんて信じられない。
中島部長は50代で既婚者だ。体格が良く、髪が薄い。
「今日は存分に楽しませてもらうよ」
挨拶もろくにしないうちにいきなりディープキスをしてきた。
き、きもちが悪い・・・!!!
こんなのと60分もどーしろと!?