今夜 君をさらいにいく【完】
今日は平日で暇だったせいか、時給カットされ、給料は2万ちょっとだった。
マリナと繁華街に出て、マリナの彼氏のホストクラブへ向かった。
こういう時も変装を決して忘れない。サングラスに帽子にマスクは、まるで芸能人のような気分にさせてくれる。
それを見て、またマリナが大笑いした。
【ジュリア】と英語で表記された煌々と輝いている看板の横には、20人ほどのスタッフの写真がキメ顔で飾られている。
正直どれも同じように見える。
マリナが“これうちの彼氏~!”と指差した写真の男も、悪いがかっこいいとは思えなかった。
お店が地下にあるため、長い階段を下っていく。
入口に沢山の花が飾られていた。
「お!マリナちゃんー今日も来てくれたの?・・・あれ?友達も?」
レジの所にいた前髪がやたら長めの男がこちらを見た。
「一緒の店で働いてる先輩ー!ねぇ山ちゃん!アユム今客ついてる?」
「いや、大丈夫だよこっち付かせるから!それじゃ新規のお客様は身分証明書などお持ちですかー?」
年齢確認するためということで、身分証明書を提示した。