今夜 君をさらいにいく【完】
山ちゃんと呼ばれた彼は私達をテーブルまで案内すると、しゃがんで名刺を渡してきた。
「山ちゃんですっマリナちゃん、今日はカワイイ子連れてきてくれてありがとー!」
「でしょー!?サナさんはうちの店でもNO3に入る人気嬢なんだよっ」
ホストって本当に口がうまいんだな。マリナまで能弁になっている。
山ちゃんがその場を去ると、次々に色んなホストが現れ、名刺を置いて行った。
ホントに全員同じような顔に見える。
そして同じようにハイテンション。
名刺の数は全部で8枚になった。
その時、突然マリナと私の間に一人の男が座った。
「マリナーこの子が同じ店の子?」
そう言って振り向いた姿がまさにライオンだった。
オレンジの髪の毛が肩下まで伸びていて、全体的にツンツンしている。そして真っ白いスーツがまぶしい。きっと彼がマリナの彼氏なのだろう。
「は、はじめまして」
ぎこちない挨拶をしてしまった。けれどあまりにもホスト―!!!って感じの見た目だったので、笑いがこみあげてきてしまう。
「初めましてっ俺マリナの彼氏のアユムっていーますっ」
「どぉー?サナさんっアユムかっこいいでしょーっ」