今夜 君をさらいにいく【完】
マリナが身を乗り出す。2人してキラキラな目で見つめてくるので、思わず“ウ・ン”としか言いようがなかった。
この目に負けちゃいけない。
「えっと、あのアユムさん!」
「はーい!何でしょう!?」
物凄い軽いノリで返事をされたので、思わず調子が狂ってしまう。
「マリナとは真面目に付き合ってるんですよね!?」
「もっちろんですよー!なぁ!?愛してるよマリナっ」
「アユムー!あたしもだよっ」
その後は2人でひたすらイチャイチャ。
なんだか・・・
今日飲み代を払ってまでここにきたのが、阿呆らしくなってきた。
マリナを見てると本当に幸せそうだし・・・2人が良いのならいいのかな・・・
なんだかんだいって会いに来るのが生きがいみたいな感じになってるしな、マリナも。
トイレに行こうと立ちあがった時、ぐら~っと視界が回り始めた。
そういえば、マリナの彼氏に喝入れようと、気合い入れるために焼酎をロックで飲み続けてしまっていたんだっけ。足元のバランスが崩れる。
「大丈夫ですか!?」
その時、馴染みのある声が耳元で響いた。