今夜 君をさらいにいく【完】
「そうなんだぁ、どおりで若いなぁって思ったぁ!私なんてもう年老いたおばちゃんだよ・・・」
「何言ってんの!桜井さんがおばちゃんだったらあたしどうなんのよ!」
横にいた伊藤さんが笑ってそう言う。
「いや~年齢の問題じゃなくて・・・中身がですよぉ。もう働きすぎて疲れちゃって・・・」
理沙ちゃんが可愛らしいオレンジのカクテルを飲みながら問いかけてくる。
「桜井さん他にも仕事してるんですかぁ?」
「うーんしてるよぉ~・・・理沙ちゃんみたいなカッワイ~妹もいるしねぇーあたしがしっかりしなきゃ・・・」
眠気も入ってテーブルに顔を突っ伏してしまう。
「ぁあー!桜井さん!もう飲みすぎですってば!寝ると酔い回りますよ!?」
そう言った三条君が体を揺すってくる。
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気付くと居酒屋の前にある花壇の淵に座っていた。
皆は、二次会はどこに行くのかとか、帰る人はいるのかとかで騒いでいる。お酒も入り盛り上がっているので、誰一人居酒屋の前から離れようとはせずに話しこんでいる。