今夜 君をさらいにいく【完】
私はそこで記憶をなくしている。
この前は三条君の前で。
今回はあの、黒崎さんの前でだ。
どうして私はすぐお酒に呑まれてしまうのか・・・
もう二度と浴びるようには飲まないようにしようと心の中で誓った。
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気付けば朝になっていた。横で寝ている妹の綾を起こす。
「んー?なぁにぃ」
寝ぼけ眼で起きあがる綾に、恐る恐る聞いてみる。
「あのさ、き、昨日・・・」
「ああ、お姉ちゃん会社の人におんぶされて帰ってきたよぉ!」
「え!!」
「あたしびっくりしちゃった!黒崎さんだっけ?あの人かっこいいねぇー!」
明るく笑いながら布団を畳んでいる綾。聞きたくないけど聞かなければならない事実を聞いてみる。
「・・・黒崎さん、スーツどうだった?」
「スーツ!!そうそうお姉ちゃん吐いたんでしょ!?ビニールに入れて捨ててもらったよぉ!」
ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!
夢ではなかった。