今夜 君をさらいにいく【完】
頭を深く下げて誤った。
本当は合わせる顔もないくらい最低な事をしてしまったはずなのに、黒崎さんは私の体調を心配してくれている。
本当に心から申し訳ないと思った。
黒崎さんは書類に目を通しながら言った。
「そんな事はいい。それよりお前、胃がまだ本調子じゃないんだろう、あんな飲み方したらまた悪化するぞ。そのせいで吐いたのかもしれないからな。当分酒は控えろよ?」
「は、・・・はい」
思いもよらない言葉に拍子抜けしてしまう。
「なにボーっとしてんだ?わかったならさっさと席につけ!もう始まってるぞ!」
「は、はいぃっ!!」
ついさっきまでの優しい雰囲気とは一転、また鬼課長に戻ってしまった。
でも本当に驚いた。
まさかあんな風に言ってくれるなんて思わなかったから。
私は少しにやついたまま席に戻った。