溺愛カンケイ!

「えっ、そうだったんですか」

そんな風に思ってくれてたなんて。
私なんかと飲んでも面白味も何もないのに。何だか申し訳ないかも。

「そうだったの!」

やけに力を込めて言う。

「オイ、もういいだろ。あっちに戻れよ」

田中主任は不機嫌な顔をして加藤さんたちの肩を押す。


「田中主任、今日はどうしたんですか?いつもは女の子に囲まれて飲んでるのに今日は小林さん一人だけって」

変だよな、と。

「加藤、余計な事を言うなよ。っていうか俺は生まれ変わったんだよ」


ドン、とテーブルを叩き田中主任が急に大声を出した。


「はぁ?マジでどうしたんですか、主任」

怪訝そうな顔をする加藤さん。

「だから、俺はもうチャラチャラしないんだよ。真面目に生きる事にしたんだよ。一人の女の子に振り向いてもらう為に頑張るんだよ、俺は」


そんな宣言を大声でしたもんだからアチコチで


「え~嘘でしょ?誰よ、主任の好きな女って」

「マジムカつく~その女。じゃあ主任ともう飲みに行けないって事?」

女子社員が騒ぎだす。
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