溺愛カンケイ!
「俺はここ何年も彼女はいた事がない」
課長の口から出たのは驚きの言葉だった。
「ホントなんですか?」
信じられない。こんなに格好いいのに。
「あのなぁ、嘘を言ってどうするんだよ。いないもんはいない。だからお前が心配する様な事はない」
余計な気を回すな、と呆れたように言う。
「そうですか…。でも、さっきの人達に課長達に近づくなって言われたので、てっきりあの中に彼女がいるのかと…」
思ってました、と最後は小さな声に。
「そんな勘違いはして欲しくない。マジで勘弁してくれよ。それより悪かったな」
「何で課長が謝るんですか?」
別に課長が悪い訳じゃないのに。
「あいつらは俺や田中の周りをいつもウロチョロしてるやつらだったから、近づくなとか言われて叩かれたんじゃないのか?」
「………」
言葉が出ない。
「図星だな。もう、痛くないか?」
課長はそう言うと手を伸ばし私の左頬を優しく撫でる。
「だ、大丈夫です」
ビクッと身体が反応し、課長が触った左頬に熱が帯びてくる。