溺愛カンケイ!

はぁ、食べたくないんだけどな…。
野菜スープをスプーンですくって飲んだ。


その時、後ろの席で私を絶望に突き落とす内容の話が聞こえてきた…。


「ねぇねぇ、聞いた?営業の河野課長って結婚するらしいよ」

えっ、結婚て…。

「嘘でしょ~どこの誰と?」

「それがさぁ、山川商事の専務の娘。昨日デートしてるの見た人がいてお似合いだったらしいよ~」

「マジで?かなりショックなんだけど」


聞きたくもない情報が私の耳に入ってくる。
こんな話聞きたくない。


ガタッと席を立ち


「ごめんね、蓮にぃ。やっぱりさっきの仕事が気になるから先に戻るね」


「あっ、おい花音!」


蓮にぃの呼び止める声を無視してトレイを片付け食堂を出た。


結婚?デート?何それ…。
じゃあ私は…?
好きだって言ってくれたのも嘘?

何が何だか分からない。
逃げ出したい衝動に駆られた。でも今は仕事中…。


私は社会人なんだ、公私混同してはダメと自分に言いきかせながら営業フロアに戻った。
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