溺愛カンケイ!
「あっ、花音チャン?」
走り出した私の背後で花山主任が大声で叫ぶ。
その声に拓也さんも気付いたのか
「花音?」
驚いたように振り向く。
もうイヤだよ。
嫌い、拓也さんなんか大嫌いっ。
「花音、待ってくれ」
拓也さんが追いかけてくる。
「嫌っ、来ないで」
あっという間に追い付かれ、拓也さんの腕が伸びてきたけど掴まれる前に渾身の力を込めて払いのける。
「もう嫌っ、触らないでっ」
私の態度に拓也さんの動きが一瞬止まる。
その隙に走りだし横断歩道を渡ろうとした時に信号無視したバイクが突っ込んできた。
キキィーー、ガシャン――――
「花音っ!」
拓也さんの私を呼ぶ声が聞こえた。
えっ、何?痛い、痛いよ、頭が痛い。
身体中が痛いし…。
私の意識が途切れる前に見たのは拓也さんの悲痛な顔だった――…。