溺愛カンケイ!
「すみません」
頭を下げた。
「お父様、構いませんわ。私、諦めませんから。絶対に拓也さんを振り向かせてみせますわ」
自信満々に言い放つ。
何なんだよ、この女は…。
「まぁいい。さあ、行こうか」
専務も俺の話を聞いてなかったのかのような振る舞いをする。
帰りたい。何で食事になんか行かなきゃならないんだよ…。
苛々しながらも車に乗り込んだ。
そして着いたのは高級料亭の前。
「拓也さん行きましょう」
専務の娘はいきなり腕を絡めてきた。
「咲さん、離して下さい」
香水臭いのが俺のスーツに移るじゃねぇか。
「フフッ、いいじゃないですかぁ。あっ、食事の前にコンビニに寄りたいので行きましょ」
この女…強引過ぎる。
流石に無理に引き剥がす事も出来ず、なすがままになっていた。
まさかこの光景を花音に見られてるなんて思いもせずに。