溺愛カンケイ!
「専務、前も言いましたが私には付き合ってる女性がいます。いい加減にしてもらいたいんですが」
「河野君、頼むよ。今後うちとの取引も楽になるだろう?」
はぁ?何でだよ、脅しか?
苦々しい気持ちで舌打ちするしかなかった。
「拓也さん、行きましょう」
いつの間にか会議室に入ってきた専務の娘。
何でこの女と昼から出歩かないといけないんだよ。
俺は仕事に来たんだぞ。
食事に映画…最悪だ。
あの女がトイレに行った隙に花音に電話した。
「花音、仕事は終わったのか?」
「はい」
心なしか元気がないみたいな声。
「昨日は電話に出れなくて悪かった」
「いえ、仕事だったんですよね?」
花音の言葉に正直に話すか迷ったけど仕事だと伝えた。
この時、本当の事を全て話していたらあんな事にはならなかったのに――…。