溺愛カンケイ!

「あの女に腕を組まれたり、次の日は仕事で山川商事に行ったのに仕事の話ではないと言われ、あの女にまた食事だ映画だと無理矢理連れ回された」

情けないよな、と。


「そうだったんですか…。でも『俺がもっとハッキリとした態度で断らなかったのがいけなかったんだ。取り引きの事を持ち出され強く断れなかった」


拓也さんは悔いるように唇を噛みしめ静かに目を閉じる。


「そのせいであんな所でキスされて花音を傷付けて怪我までさせてしまった…。本当にすまなかった」


苦しそうな表情で謝る。
お願いだからそんな顔をしないで。


「じゃあ、拓也さんとあの人は何もないんですか?」


拓也さんは顔を上げ私を見つめそっと手を握り


「当たり前だ。俺には花音しかいない…花音じゃないと駄目なんだよ」


拓也さんの言葉に胸が熱くなる。

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