溺愛カンケイ!

「今、花音の腕はギブスをしてるし退院したばかりだろ。だからキスだけで抑えてるのに」

言葉の意味が分かると急に恥ずかしくなる。


「や、やだ」

「やだじゃねぇよ。ホントこれ以上俺を煽るな。抑えが効かなくなる」

「全く煽ってませんっ」

「これだから無自覚はたちが悪いんだよ」

「えっ、何ですか?」

無自覚って何?

「はぁーもういいよ」

溜め息と共に呟く。


なんか嬉しい。
前みたいに拓也さんと会話が出来るなんて。
入院中は悪い事ばかりしか考えてなかったから。


「そうだ、忘れるところだった。花音、この前誕生日だっただろ」


不意に拓也さんがそんなことを言う。

そう、入院中に私は21歳の誕生日を迎えていた。

「覚えていてくれたんですか?」

嬉しくて声が弾む。


「当たり前だろ、彼女の誕生日なんか忘れるかよ」

何言ってるんだ、と。
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