溺愛カンケイ!
「黙ってないで何か言いなさいよ。ホントにウザイ子ね。それよりその額は何?顔に怪我なんかして女性としてどうかと思うわ。ハッキリ言ってあたなと拓也さんは不釣り合いよ」
肩をドンッと押されバランスを崩しそのまま後ろにしりもちをついた。
痛っ。
何で私の事をよく知らない人にウザイって言われるの…。
「ホラッ、そんな所にひっくり返られても邪魔になるでしょ。あなたはさっさと家に帰りなさい。私が拓也さんとまた映画を見てくるから」
“また”という言葉を強調し、フフッと口角をあげて笑う真っ赤な口紅をつけた唇がやけに目につく。
止めてよ、もう聞きたくない。
キッと目の前の人を見上げ
「あなたにそんな事を言われる筋合いはない」
勇気を振り絞り叫んだ。
悔しくて涙が出そう。
でもこの人の前では絶対に泣きたくなくて唇を噛む。
今までだったら何も言えなかったと思う。
だけど、拓也さんに対する想いは誰よりも強いから負けたくなかった。