溺愛カンケイ!

「俺さぁ、前にも言ったけど本気で花音ちゃんの事が好きなんだよね」


田中主任の言葉に胸がズキッと痛んだ。
心の準備はしていたけど、いざとなるとどうしていいか分からなくなる。


「歓迎会の時、俺の事を恋愛対象として見て欲しいって言ったの…覚えてる?」


あの主任が部長達の前で言った時の事…だ。

「……はい、覚えてます」

忘れる訳がない。


「あれからしばらく経ったけど俺の事、恋愛対象として見てくれてるのかな?」


田中主任は真剣な顔で私を見つめてる。


ゴクリと唾を飲み、思わず俯きそうになる自分にしっかりしろと心を奮い立たせる。

主任の真剣な想いをこれ以上踏みにじる訳にはいかない、言わなきゃ…。


拓也さんはまだ来てないけどこれは私の口から言わないといけない。

覚悟を決め、震える身体を落ち着かそうと何度も深呼吸して――、

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