溺愛カンケイ!
「そのおだんごで気合いなんか入るのか?」
蓮にぃは不思議そうにおだんご頭をつつく。
「入るよ、てか蓮にぃ髪が乱れるから触らないでよ」
「へいへい」
じゃあな、と言って蓮にぃは自分の席に座った。
こういうのって気持ちの問題だと思う。
キュッと髪を纏めると気が引き締まる気がしたから。
どんな顔をして田中主任と接すればいいか分からなくて少しでも自分を奮い立たせたかった。
今日は部長たちは幹部会議が長引いているみたいで朝の朝礼はなく、私たちはそのまま仕事に取りかかった。
いつものようにパソコンを立ち上げる。
ファイルをパラパラと捲り、参考になる資料を探していると、
不意に誰かが私の首筋にふっと息を吹きかけた。
「ひやっ」
ゾワゾワと鳥肌が立ちビックリして両手で首を押さえ、バッと振り返った。
「あ、田中主任…」
そこにはいつもと変わらない王子様スマイル…ではなく、悪戯っ子の顔をした田中主任がいた。