溺愛カンケイ!

「それは花音が悪い。そそるような髪型をするからだ」

仕方ないだろ、と悪びれもせずに言う。

私、悪くないし!

「そそるって…そんなつもりは全くないのに」

ぷくっと自然に頬が膨れる。


「はぁ…全くお前は無防備過ぎるんだよ。田中だって何か言ってただろう。あんまり近付くなよ」

溜め息をつきながら舌打ちをする。
そういえば言われたような…。


その時、ガチャガチャとドアを開けようとする音が聞こえた。


『あれ?鍵が閉まってる?』

っ!!!

誰かが資料室に入ろうとしてる?


「た、た拓也さん、鍵っ、人がっ…」

焦る私とは違い拓也さんは落ち着いていつもと変わらない様子で


「なぁ、その首を人に見せるのか?別に俺は構わないけど。もう鍵を開けるぞ」


入り口に向かって歩き出す。


「なっ…」

10・9・8…とカウントダウンしてるし。
もぅ、意地悪すぎる。

このドSめーっ、と恨めしい視線を送りつつ
急いでシュシュを取りピンとゴムを外して髪を下ろし手ぐしで髪型を整える。

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