溺愛カンケイ!

資料室の外では女子社員の

『おかしいな?』
『誰かいるんですか~?』
『ねぇ、鍵を借りてこようか』
『うん、そうしよう』

といった会話が聞こえてくる。


入り口まで行き、ドアノブに手をかけていた拓也さんはチラリと後ろを振り返り、私の姿を確認すると


「開けるぞ」

――…ガチャ、

鍵を開けて拓也さんは外に出た。


「あ~、河野課長が鍵を閉めてたんですか?」

女子社員二人は目をキラキラさせながら話しかけてる。


拓也さんは私の方に目線を向け

「いや、うちの小林が間違えて閉めたみたいだ。悪かったな」


はっ…私っ?
思わぬ言葉に目を見開いた。


「あー、あの子ですかぁ。何かボケッとしてて抜けてそうですもんね」

「ホント、あの子ならやりそう」

クスクスとバカにしたように笑う。


私がボケッとして抜けてる?この人たち。失礼だよ。

心の中で思いきり舌打ちした。

< 306 / 332 >

この作品をシェア

pagetop