溺愛カンケイ!

拓也さんはメガネの下から人差し指で目尻に溜まった涙を拭いながらまだ笑ってる。


「そんなに笑わなくてもいいのに…」

ジト目を向け頬を膨らませポツリと呟く。


拓也さんはふっと笑うのを止めて目を細め優しい笑顔になり


「花音、気付いてるか?今すごく明るい顔してるよ。ずっと溜め込んでいた事を言ってスッキリしたんじゃないのか?」


手で顔を触ってみる。
てか、触っただけじゃどんな顔してるのか分かんないよね、鏡を見なきゃ。

何やってんの、私。

うーん、自分ではよく分からないけどそう言われたらそうかも。
気持ちが軽くなった気がする。


二度と会いたくないと思ってた坂口に会い、昔の嫌な事を思い出したけど結果的に坂口に会って私が前に進めるきっかけになったのかも知れない。


あんな適当男が言った事に振り回されて悩み苦しみ、本当の自分をさらけ出す事もせず殻に閉じ籠っていたなんてホントにバカみたいだ。


私は私らしく生きていけばいいんだ、と。

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