七夕の星に
話していたときに、七実が冗談混じりに言った言葉。
「七夕に現れたでしょ?もしかしたら、雨だと会えない織姫と彦星みたいに、雨が降ったら現れないかもね」
その言葉が言い終わると同時に、二人の間を沈黙が支配する。
妙に現実味のあるその言葉を、二人は「違う」と否定できなかった。
その日から二つの季節が訪れ、そして去っていった。
七夕が間近に迫ってきて、週間天気予報にも出てきた7月7日の天気。
その時は小雨が時々降るので、折り畳み傘さえ持っていれば良いと言っていた。
なのに、やっぱり天気予報は気まぐれだ。
変わると変わらない、当たると当たらないの二分の一ずつの確率。
七夕当日、一日中ずっと雨だと告げられても、それを否定できる者なんてほとんどいない。