七夕の星に
お天気お姉さんがテレビで今日の天気を告げて数分後、夕奈の家の電話が鳴った。
一瞬取るのを躊躇したが、夕奈は頭を軽く横に振り、今度こそ電話を取った。
『…あ、夕奈?』
「七実?どうかしたの?」
挨拶を返し、要件を話すよう促した夕奈の耳に、混乱しているのか歯切れの悪い七実の言葉が聞こえてきた。
『あの…ね…?』
ゆっくりと、でもはっきりと…七実は言葉を告げた。
『“夜”に…行かない?』
どこへ…なんて、聞かなくてもわかった。
…そうよね…雨だと会えないなんて、まだ仮説だもの。
電話が先程まで繋いでいた相手を案じながら、夕奈は幼い頃に亡くなった二人に思いを馳せた。
どうかお願い…この仮説は、当たらないで…。
暗い窓の外を眺めながら、夕奈は悲しげなため息を吐いた。