七夕の星に
見ているだけで鬱になってしまいそうな激しい雨が、地面に降っては弾かれる。
「…せっかく、会えるとおもってたのになぁ…」
子供――夕太は寂しげに呟いた。
『うん…たのしみにしてたんだけどね…』
“約束のシロツメクサ”から、女の子の声が聞こえてきた。
夕太は“光っているシロツメクサの腕輪”を軽く撫でながら、ため息を一つ。
「…こえがきこえるだけ、良いのかな?」
『まえにあめだった日はこえもきこえなかったもんね』
「うん。きょねんここにかえってきたとき、はなせるようになってたのはビックリした!」
『あたしもビックリした!でも、うれしかったなぁ』
夕太は声の主――七歌の笑顔を思い浮かべた。
「ぼくもうれしかった。でも、やっぱり…会いたいな」
何故か、沈黙が訪れる。