サンタの仕事も楽じゃねぇ
あばしり
仕方なくタクローとトナカイは網走へと出向した。
「いやーしかし寒いっすね」
トナカイが鼻を赤くして白い息を吐いた。
「こんなとこになにがあんだっつんだよ」
タクローは網走湾を細い目で見ながら葉巻をくゆらせた。
「てかよ、プレゼントって何があんだ?」
「えーと、『ザ・脱獄計画』『HOW TO 堀り方』『スプーンの役割』『ホールハイド』『壁のふしぎ』とかですかね」
「決まりだな」
「え?」
「26日にちゃちゃっと配るべ」
「ドンに見つかったらやばいっすよ。ちゃんと仕事しましょうよ」
「明日でいい」
タクローのこの一言で網走地区のクリスマスは26日に変わった。