君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
理想と現実
~琴音side~
無事仲直りして、屋上から病室に2人で帰るとき、蓮とあった。
「あ!空斗、お前ここに居たのか…って事はもう琴音と仲直りしたんだな?良かったじゃん!」
「心配かけて悪かったな、蓮。時間あるなら、病室こいよ?」
「あぁ。行くよ!」
その時、ピルルル!!
蓮の携帯が鳴った。
「あ、ごめん!電話終わったら、すぐそっち行くから!!」
「じゃあ、空斗の病室で待ってるね~!行こっ、空斗!」
そう言って、あたしは空斗と繋いでいる手を引いた。
蓮は、あたし達に手を振りながら携帯に向かって真剣に話していた。
『はい…はい。そうです。…』
空斗の病室でしばらく話していると、蓮が帰ってきた。
「あ、蓮!! おかえり。何の電話だったの?随分遅かったけど…?」
そう聞くあたしに蓮は、静かに言った。
「落ちた…」
「「何が?」」
わ、空斗と声が揃った…!
「グランプリ…取れなかった…。」
いつもと違う、元気の無い声だ。