君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
――――――――






その後、海生さんは、







「いきなりこんなこと言ってごめんなさい。あなたには聞いてもらっておきたくて…。副作用が強いけれど、空斗が生き続けてくれる可能性があるのなら、私は薬を使うつもりなの…。でも、空斗の特効薬であり、命の恩人でもある琴音チャン、あなたの意見も聞きたいと思ってる。今すぐにとは言わないわ。ゆっくり考えてほしいから…。」








そういって、病室を出て行った。









あたしの頭の中はパニック状態で。








確かに空斗に死んでほしくない、ずっとあたしの側にいてほしい。








でも、あたしとの記憶を…思い出を忘れないでほしい。








それも海生さんによれば、パッと全部忘れるのではなく、ジワジワと消えていくらしい。








ちょっとの間はおぼえていてくれているけど、いつかは…。








そんなことを考えていると廊下から楽しげに走る足音が聞こえた。







この音はたぶん蓮だ。







しかし、途中で足音がとまる。







海生さんと会ったのであろう。







そして、蓮があたし達のお見舞いに持ってきたなにかを落とす音が聞こえた。







…蓮、あたし達、どうしたらいいのかな?















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