君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
ガッターンッ!!





空斗がそれをヒョイとよけ、前からこけた。






「イテテ…」






空斗が言う。







あれ?あたし…痛くない?







おかしいな…。空斗がよけて転んだはずなのに。







怖くて閉じていた目を開けるとそこには空斗の顔があった。






まあ、他人から見たらあたしが空斗を襲ったシーンにしか見えないわけで。








「…ご…ごめん!!」








体を離そうとすると、空斗に腕を引っ張られ、また倒れこんだ。







次は、あたしが下になる。







空斗はあたしを抱きしめた。








「なぁ…少しの間このままでいて?」








空斗の優しく、寂しそうな声。







ずっとこのまま時間が動かなかったらいいのに…







そう、心の底から思った。
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