君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
パチッ―。





あれ?






あたし…ベットで寝ている!?






もしかして今のは…夢だったの?






どこからどこまでが現実?






思い出せない。






海生さんが薬の話をしたことも夢であってほしい。






「琴音…入るぞ…。」






蓮の声。







「…海生さんから…話…薬の事聞いたか…?」






その一言で現実に引き戻される。






「聞いた…よ。」






「そっか…。お前は…どうするつもりだ?」






選択肢は2つ。






薬を使って、あたし達との記憶が無くなるか、







空斗は目を覚まさないまま死んでしまうか。







今考えたら、記憶が無くなるなんて命と比べたら小さなことだ。







「…空斗には…少しでも長生きしてほしい…、イヤ、死んでほしくない。」







そう、あたしが強い意志で言うと蓮はコクんと頷いた。







「ああ。俺もだ。」






あたし達は二人で頷き合い、歩きだした。






海生さんのもとに向かって。













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