君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
「琴音!!」





「空斗ぉー!!」






5日ぶりに病室に帰って来た空斗。







あたしは空斗に軽くキスをした。







「ん…、ははッ!今日は積極的なんだな。」







「だって…」






いまから薬を打つんだもん…。






次、空斗目を覚ます時、あたしの事を覚えているか分からない。







「ごめん…な。つらい思いさせちまって…。」








あたしは無言で首を横にぶんぶんと振った。







「俺、薬のんでも琴音の事、忘れねーから…って言いたいけど、確立は無いに近いからな…。情けねーよ、俺。」






悲しそうな顔。







なのに我慢して笑顔を作って。







見えてるのに。







我慢している事も、手が震えている事も。







全部。







あたしとの思い出を全て覚えている君はあたしから遠ざかっていった。






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