君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
~琴音side~


今日は記憶が戻ってよかったケド…。




海生さんによれば1週間ほどで、完全に薬が作用する。





これから先は…どうなるかなんて誰も分からない。





でも、ただ一つ分かることがある。





それは、“空斗は全てを忘れてしまう”ということ。





やだ。絶対やだよ。





あたしの事忘れてほしくないんだよ。





ずっと…覚えていてほしいの。





あたしの最初で最後の恋をこんな形で終わらせないで。





あたしと空斗が出会えた奇跡を無かった事にしないで―――――。





記憶が無くなっても側にいれればいい?





そんなの嘘だよ。





ほんとは寂しいよ、悲しいよ。





ずっと永遠に続く恋をしたいよ。





空斗の声で琴音って呼ばれると、胸がキュンとするの。





そんな感覚いつまでも味わいたいよ。





でも、それは…もう出来ないんだ。――――




そんなことを考えていたせいか、その日のご飯は1口しか食べられなかった。





「あたし…空斗の側で笑っていられる自身…無いよ」





そう1人でつぶやいた。










あたしの目は光を閉ざした―――――。
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