君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
「うん。あたしも好きだよ、空斗。だから…病気何かに負けないで、ずっと一緒にいようね?」




あたしがそう言うと、わずかに空斗が顔を曇らせる。




「空斗…?ずっと一緒だよね?」




空斗は、あたしの問いかけには答えず、
静かに口を開いた。




「何で、今日写真撮ったか…わかる?」




「…っ!た、だの…記念、で、しょ?」




何と無くわかってる。




でも、口には出さない。



信じたくないから。



でも、嘘をついたあたしの声はかすれ、震えた。




「俺、ホントはさ。写真って、好きじゃないんだよ。でも、今日は撮った。…未来の琴音の為に。蓮の為に。」




「何…言ってんの…?」




抱きしめていた手を離し、あたしの涙が溜まった目をしっかり見据えて、空斗は言った。




「もう、次目が覚めたときには、記憶はほとんど無くなる。と、同時に残りの時間もきっと…少ない。だから、今のうちに思い出作っておかなきゃなっと思ってさ?」




「え…?」




「俺が死んでも、写真を見れば淋しくないだろ?」




言いながら、ぎこちない笑顔をあたしに向ける。




「…何、言ってるの…?まだ、わかんないじゃん。それに…"ずっと一緒"って、約束したじゃん!そんなこと、言わないでよ!!」




涙が溢れ、ぐちゃぐちゃの顔でがむしゃらに怒る。




何で、そんなこと言うのよ。




もう、嫌だよ。




空斗は…生きたく…ないの?




簡単に諦めちゃダメじゃん。




「でも、これは避けられない事実だから。」




空斗のその言葉で、あたしは抑えが効かなくなった。




「空斗のバカ!!もう知らないっ!」




あたしは病室を飛び出した。
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