君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
言って、戻ろうとすると蓮があたしの腕を掴んで引き止めた。




「蓮?どうかした?」




振り向くと、真剣な顔の蓮がいて、




急にあたしに囁いた。



「琴音…。俺、お前のことが好きだ。」



え…?


蓮が…あたしの事…好き…?



「れ…ん?何言って…?それに、あたしには空斗が…」



「わかってる。だけど、言っておきたくて。」



「ありがとう。ごめんね…。」



あたしは、どれだけ幸せなのだろう。



空斗と出会う前は、何も幸せなんて、無かったのに。



ーーーーーーーーーーー



蓮と別れ、病室に戻ったあたしは、深く息をつく。



すると、コンコンッと扉がノックされ、開いた。



海生さんだと思って、顔をあげるとあたしは、驚いて硬直した。



え…?



どうしてこの人がここに、あたしの目の前にいるの…?



何で…?



「お母…さん…。」



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