君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
「…知ってるよ…?」



あたしはいつまでも蓮の言葉に返事が出来ない。



ごめんね、蓮。



「…なぁ…。



何で俺、琴音を好きになっちまったんだろーな。



他にも女なんて一杯いるのに。



何で一生叶わないと分かっている人に恋したんだろーな。



自分の事が好きだと言ってくれる人と恋が出来たらどれだけ幸せか。



どれだけ楽か。



でも、俺の運命は生まれた時にはもう決まっていたのかもしれね―。



だから、琴音に恋して本当によかった。



俺らを出会わしてくれた神様に感謝しねーと。」



ねぇ、あたし知ってるんだよ?



蓮が無理して笑っていることぐらい。



あたしを不安にさせないようにと思ってくれていることぐらい。








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