君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
自分の存在

不良品

「やべ!俺、そろそろ行かないと。」



そう言って、蓮が慌て出す。



「お、蓮何か用事?」



「おぅ!今日、昼から学校の講習会なんだよ。また、来るな。じゃ!!」




蓮がドタバタと帰って行った。




「琴音も一応、病人なんだからそろそろ戻れよ。ついてってやるから。」



あたしの体調を気遣い、空斗が言った。



「うん!そうだね。」



ホントはもっと一緒に居たかったけど、素直に従うことにした。



あたし達は手を繋いで、空斗の病室を出た。



…こうしていると、普通のカップルと変わらないのに。



違うのは、手の甲についた点滴の跡。



たった3つの間。



今、この時この瞬間がずっと続けば良いのに。



そう思った。



空斗と一緒に自分の病室に入り、ベッドに腰掛けた瞬間ーーーー



強烈な頭痛があたしを襲った。



「ーーーった!」



「どうした!?」



「…わかんない。空斗…頭が痛いよ?ねぇ。く…う…t…。」



あたしの意識はそこで途絶えた。
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