君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
治療室に広がる、規則正しい機械音。




それが余計に俺の心を掻き乱した。




そっと、琴音の手を握る。




「琴音…起きろよ。ずっと一緒にいたいんだろ?きっと、叶えてやるからさ…?」




そうつぶやいて顔をあげると、琴音の瞳が開くのが見えた。




「琴音…!?」




思わず、声が震える。




俺はとりあえず、ナースコールを押した。




「大丈夫か?…って苦しいよな、ごめん。」




「く…う…と?ごめん…し…んぱ…いかけて…」




「全然。気にするな。」




「ねぇ、教えて。あたし…生きて…る意味…あるの…かなぁ…?



あたしの…心臓は…不良品な…のに。」




ゼェゼェと荒い息で咳き込みながら、琴音が話す。




あるよ。そう答えようとした時、




ガラッ!




看護師達が駆けつけて来た。




「笹原さん!もう、楽になるよ~大丈夫だよー」




「空斗君…ごめんね、ちょっと出ておいて貰えるかな?」




「あ、すみません。」




俺は扉を開けて、治療室を出た。




あの時、俺がもっと早く琴音の体調を気遣っていたら、状況は変わったのかな。




不安と後悔に押しつぶされそうだ。




生きてる意味が無いのは俺だよ。




俺は琴音より、ずっと…不良品だ。ーーーーーー
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