槍水仙
「澄・・・行ける?無理しなくてもいいんだよ?」
「大丈夫、お母様が作ってくれた着物を着ていきますから」
「そう・・・あ、迎えがきたわ。気をつけてね」
「はい!」
お母様が亡くなってから1週間。
自分の努めは果たさなくちゃ。
「澄殿、お迎えにあがりました。私は秀平様の家臣、井原 兼次にございます。城にて殿がお待ちです。さぁ、まいりましょう!」
「は、はぁ・・・」
初めてかごに乗った・・・
こんなのに乗っていいのだろうか・・・
それから数分すると、ずっと続いていた振動が止まった。
多分到着したんだろう。
まもなく、かごの御簾が開いた。
「到着いたしましたよ」
「あ、りがとうございます・・・。あの、何てお呼びしたら?」
「兼次でかまいません」
呼び捨て・・・は無理でしょ
「じゃあ・・・兼次さん、ありがとうございました」
「いえ、お気になさらず」