槍水仙
よかった、優しい人で・・・一安心。
「殿を呼んできます」
「は、はい・・・」
とうとうご対面・・・緊張してきた。
手汗が、どうしよう・・・これから会うっていうのに・・・
「秀平様の、おなぁ~り~」
私は頭を下げた。
ぎゅっと、目もつむって。
スーっと襖を開ける音も聞こえる。
・・・・・・。
「面を上げよ」
凜とした、爽やかで透き通っている声・・・
私はゆっくり、顔をあげた。
キリっとした眉毛に、漆黒の大きな瞳、整った小さな顔・・・
口角を上げて微笑んでいる秀平様が、そこにいた。